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観劇:ワンツーワークス『アジアン・エイリアン』

今日は赤坂レッドシアターにて

ワンツーワークスの『アジアン・エイリアン』を観劇。

初めて観る劇団で

とあるメルマガがきっかけでチケットをとりました。

 

 

 

 

 

舞台には、高さが20cmほどの、木枠で作ったプール型のようなものが置かれてあり

そこには真っ黒なシートが敷かれています。

舞台下手には、ドアがあり、そこは霊安室という設定でした。

プール型より少し高いところに、鉄の柵があり

柵の向こうにもまたドアが。

 

 

 

オープニングから(これは何を表しているの?)と感じるような動きで

12人の、喪服を着た男女の俳優さん達が、

這い上がるようにして鉄柵を越えて、プールの方へやってきます。

雨期の水田を歩く時のように重い足を引き抜き引きずりながら

一歩ずつ歩を進める男女。

その中で一人の女性が、持っていた木箱から

中に水が入っているガラスの器を取り出します。

一人ずつ、喪服のポケットから布を取り出して

その布を開くと、真ん中に赤い丸が描かれた白い紙があり

その紙を、ガラスの器の中に入れていくと

紙は溶け、器の水がどんどん赤くなっていく。

 

 

 

場面は変わり、一人の男性・サカイダが

霊安室の前で、白いハンカチで口を押さえて座っている。

と、彼の会社の後輩である男性がやってくる。

サカイダは「ミサキもミチコも、嘘みたいに綺麗な顔をしてる」と言い

顔を見てくるよう促しますが

後輩は霊安室に入る前に、「“礼節”だから」と言って

喪服に着替え始めます(多分ここは、

もっと観客の笑いがとれると思っていたであろう劇団側の思惑に反して

会場には微妙な空気が流れていました)。

と、そこへ買い物かごを持った女性が現れます。

「ミサキの姉」と名乗るその女性は霊安室に入り

出てくると「あれは弟じゃない」と衝撃の発言をします。

 

 

 

もうこの出だしから(やられた!)と感じましたが

私は、ミサキもミチコも女性で、サカイダの妻と娘かな?と勝手に思っていたのだけれど

ミサキ:男、ミチコ:サカイダの姪で、二人は婚約者という設定でした。

ミチコは、サカイダの実弟の娘で、ミチコが中学生の時に死んでしまった父(実弟)に代わり

サカイダが実の娘のように育ててきたのでした。

交通事故で死んだミサキ(下の名前はヨシヒコとかクニヒコと言った役名でした)は

天涯孤独と聞いていたのに、姉と名乗る女性が出てきたことが始まりで

「あれはミサキじゃないのか?本当は、誰なんだ?」

と不審に思ったサカイダが真相を突き止めていくお話でした。

 

 

 

結論から言うと、ミサキと名乗る男性は実は在日で

ミチコと結婚したいために、日本国籍を手に入れたくて

本物のミサキ(買い物かごを持った女性の弟)から、戸籍を買ったというのが事実でした。

本物のミサキは男性に

「死んだ彼は、自分が在日だと知ったら

あなた(サカイダ)はミチコとの結婚を許してくれないだろうから

日本国籍が欲しいと言っていた」と話します。

サカイダは「そんなの関係なく、俺はミサキを認めていた」と言いますが。。。

自分が在日だと知ると「そんなの関係ないよ」と言う人は

本当の自分を見てはくれない。

違いを違いとして認めたところから理解を含めた関係が始まるんだ

というような台詞にはハッとさせられました。

 

 

 

 

 

この作品は、17年ぶりの再演だそうです。

観に行こうと思ったきっかけは「1トンの本水(※ホンミズ:本物の水)を使用」

という紹介文でした。

実は、公演後に、バックステージ・ツアー「水を使う」と題したアフターイベントがあったので

24日のチケットを取りました。

1トンという水が、どれくらいの量なのか普段の生活からは見当もつきませんが

黒いシートを敷いた木枠が、私の目測で2m×3.5〜4mほど。

そこに3cmくらい水を入れると、1トンなんだそうです!

でも実際はもう少し水を入れていたそうで、1.8トンくらいだとのことでした。

 

 

 

マイク 器の赤い水が、男性が手を入れてかき混ぜると白っぽくなったのはどうやったの?

  →漂白剤やクリーナーの類の液体をスポイトのような容器に入れ

   客席から見えないように手のひらに隠し持ち、それを器の中で出した。

マイク 劇中でびしょぬれになるけれど、洋服の替えはあるの?

  →洋服の替えは無いので、公演後に乾燥機で乾かしている。

   なので、2公演ある時は生乾きのまま着て演技しているそうですよ!

マイク 靴も?

  →靴も、洋服と同じように乾かしている。

マイク 木枠の中に、最初は透明な水が流れてきたけれど

  徐々に白っぽい水が流れてきたのは、あれは何?

  →入浴剤を溶かして作った白い水を流していた。

 

 

 

などなど。

観客からの質問に、サカイダを演じた奥村洋治さんが答える形で

イベントは進んで行きました。

(この質問タイムで「オープニングのところが、田植え作業みたいだった」

とおっしゃったお客さんが居て

私も同じことを思ったので、心の中でニヤリとしてしまった)

そうそう、排水作業は1時間くらいかかるそうで

奥村さんが話している間も、スタッフさんがポンプで水をくみ上げたり

モップやちりとりを使って水を出していました。

ちなみに、白い水は毎回捨てているとのこと。

バックステージ・ツアーでは、先ほどまで役者さんが立っていた舞台や

霊安室(そこは、流すための水を入れる500リットルのタンクが2つ置かれていました)

を覗かせてもらったりと、贅沢な時間でした。

 

 

 

オープニングで、喪服を着た男女が

水が入った器に入れる、真ん中に赤い丸が描かれた白い紙。

それは日の丸を表していて、

紙を包んでいた布が、すべて異なる鮮やかな色だったことは

その人たちの本当の国籍が多様であることを表しているのかな?と思ったり。

サカイダが白いハンカチで口を押さえ

「何か感じないか?」と臭気を訴えるシーンは

在日に対する嫌悪感の表れを意味していたり。

木枠に流れ込んできた白い水に、映像を投影する部分があったり。

ある時から、俳優さんが歩くとビチャビチャと水がはねて

霊安室の方から水が流れてきていることを知ったり。

水=人の無意識の中にある意識(この場合は、国籍で人を差別する意識かな)

という象徴であったり。

 

 

 

一度だけでは理解しきれない部分があったので

もう一度観に行きたい。

でも、DVDを買おうか…と本気で悩み中。

「重くて深かった」という薄っぺらな感想では片付けられないような作品でした。

観に行ってよかった。

 

 

 

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