観劇:『関数ドミノ』

イキウメの前川知大さんの作品、と知り

(あぁ、観たい。瀬戸君も出るのね!これは是非チケットを取ろう)

と思ったものの、先行抽選でことごとくハズレ

一般発売初日でなんとか取ることができました。

 

 

 

10/8(日)13:00〜(於:本多劇場)

 作  :前川知大

演出:寺十吾

 

【キャスト】

真壁薫 (事故の目撃者)         ・・・ 瀬戸康史

左門森魚(小説家)          ・・・ 柄本時生

秋山景杜(真壁の友人)        ・・・ 小島藤子

新田尚樹(事故の運転手)       ・・・ 鈴木裕樹

土呂弘光(HIV患者)         ・・・ 山田悠介

田宮尚偉(事故時の歩行者・左門の友人)・・・ 池岡亮介

平岡泉(作家をめざす学生で田宮の後輩)・・・ 八幡みゆき

大野琴葉(真壁の主治医・精神科医)  ・・・ 千葉雅子

横道赤彦(事故の保険調査員)     ・・・ 勝村政信

 

 

 

【あらすじ】

とある都市で、奇妙な交通事故が起きる。

信号のない横断歩道を渡る歩行者・田宮尚偉のもとに、

速度も落とさず車がカーブしてきた。

しかし車は田宮の数センチ手前で、

あたかも透明な壁に衝突したかのように大破する。

田宮は無傷、運転手の新田尚樹は軽傷で済むが

助手席に座っていた女性は意識不明の重体となってしまう。

目撃者は真壁薫、秋山景杜、左門森魚の3人。

事後処理を担当する保険調査員・横道赤彦は

この不可解な事故に手を焼き

関係者を集めて検証を試みる。

すると真壁が、ある仮説を立てるのだった。

はじめは荒唐無稽なものと思われたが、

それを裏付けるような不思議な出来事が

彼らの周りで起こり始める。

 

 

 

“ ドミノ ” と呼ばれる、願うと何でも叶ってしまう人の存在に焦点を当て

奇妙な交通事故の原因は、その場に居た

“ ドミノ ” である(とされる)森魚が

友人の田宮を事故から救うために願ったことが叶い

田宮は無傷、車を運転していた新田側に大きな損傷が起こった、

と仮説を立てた真壁は

土呂という、HIVキャリアの男を森魚に近づけ

親しくなるように仕掛ける。

森魚が本当に “ ドミノ ” であれば、土呂が完治するように祈るはずだ、と。

土呂のHIV検査が陰性と出れば、

森魚が “ ドミノ ” であることが実証されると

主張するのだった。

 

 

 

【感 想】

期待以上でした。

この作品は、2009年と2014年に上演されていて

前川さん曰く「大きなストーリーは同じですが

一部登場人物とラストに違いが少しあり

2009年版の方が少しだけラストに希望がある。

今回は、09年版を選びました」との事。

 

 

 

私個人の解釈ですが

極端に端折ってしまうと「引き寄せの法則」のお話。

真壁は、ドミノ=願いが叶う人

といい意味で捉えていますが

高校時代に彼女を親友に取られたり

今までにいいことが無い人生だったと嘆く、

その真壁自身も “ ドミノ ” なのだと指摘され、うろたえる。

秋山は「自分が “ ドミノ ” じゃなくても、希望を持っていたい」

というような、真壁と対立する意見を述べて

真壁から「うるさい!!」と言われた瞬間、

意識を失って倒れてしまいます。

 

 

 

秋山を揺さぶり、名前を呼んで起こそうとする真壁に

「君が本当に “ ドミノ ” なら

本気で秋山さんの回復を願えば、彼女は目を覚ます」

と(確か)横道に言われ

秋山の名を呼び続けるところで、終幕。

 

 

 

昨年の『遠野物語』を観て、

(あれ?瀬戸くんて上手い)と思ったのですが

今年、『陥没』を2回観てますますその思いは強くなり

今回の『関数ドミノ』で揺るぎないものになりました。

 

 

 

ともすれば、その顔の綺麗さで

この役は全く合わないものになってしまうところを

ネガティブで、他者を羨み、人を使って自己の考えを立証しようとする

ずるい役柄を、上手く演じていました。

感情の不安定さを、襟を頻繁にいじるクセで表現したり

さえぎるように大きな声を出して他者をはねつけ

自分の意見を通そうとしたり。

 

 

 

「ラストに少し希望がある2009年版の再演」と言うことですが

私には、希望は感じられなかった。

自分が “ ドミノ ” だと言われ

大切な友人・秋山を自分のせいで傷つけ

「お前が本気で願えば、彼女を救えるかも知れない」って

今までの自分の生き方を全否定されて

それと全く逆の生き方(思考)を今すぐしないと

友人を助けられない、って残酷な突き付けだな、と。

それが出来ると見込んでの、横道の指摘だったのか。

作品を観てから1ヶ月近く経ってこの記事を書いていますが

今も時々、ラストシーンを思い出します。

 

 

 

しかし瀬戸くんのこの演技力が

舞台でしか観られないのは本当に勿体無い。

どうか、顔ではなく演技力にスポットがあたるような作品に

今後出演されることを強く望みます。

 

 

 

| 観劇・美術・映画 | 21:21 | comments(0) | - | pookmark |
衝撃の観劇:暗闇演劇『イヤホン』

真っ暗闇の中でのお芝居。

フライヤーに書かれた

「無言劇があるなら無見劇」というキャッチがすごいです。

カンフェティのメールマガジンで気になって

チケットを取りました。

【カンフェティ】席ということで

通常¥3,800のところ、¥2,000。

これだけ値下げだと席はどうなんだろう?と一瞬思ったけれど

スズナリだし、そもそも暗闇だから

後ろの席に座ろうと関係ないよね。

だって見えないんだもの。

 

 

 

ということで、いざ。

チケットの整理番号順に入場し

私は70番台でしたが、前から4列目に着席。

入場時にペンライトとイヤホンを渡されました。

 

 

 

10/7(土)19:00〜(於:スズナリ)

作・演出:大川豊

 

【キャスト】

大川豊

寺田体育の日

鉄板■魔太郎

Jonny

牛越秀人

特別出演:小椋あずき

 

 

 

【感 想】

暗闇の中でしたが、ペンライトはありますし

スタッフの方が暗視カメラで場内をチェックされている

という事で、不安はありませんでした。

ただ、この日は雨風が強くて、昼過ぎからだいぶ気温が高かった。

空調が入っていなくて、最後の方は場内の空気のよどみに

気分が悪くなってしまい(早く終わらないかな)と、

そればかり考えてしまったのが残念でした。

 

 

 

お話は、練りが足りないような印象を受けました。

入場時に渡されたイヤホンの使い方が面白いと思ったし

時々、火花程度の光でチラッと見える舞台には

きちんとセットが組んであり

暗闇の中で演技をされている俳優さん達もすごいと思った。

 

 

 

おそらく、こういうことをやっている劇団は他に無いと思うので

面白い観劇体験でした。

 

 

 

| 観劇・美術・映画 | 22:20 | comments(0) | - | pookmark |
観劇:TAIYO MAGIC FILM 『時分自間旅行』

テレビ東京の深夜ドラマ『下北沢ダイハード』の

脚本家としても選ばれた、西条みつとしさん作、

というところが面白そうと思ってチケットを取りました。

 

 

 

9/24(日)pm16:00〜(於:赤坂RED THEATER)

脚本/演出:西条みつとし

 

【キャスト】

良斗 ・・・ 町田慎吾

松井 ・・・ 広澤草

心男 ・・・ 南好洋

心女 ・・・ 里久鳴祐果

思夏 ・・・ 三森淳子

愛來 ・・・ 仁藤萌乃

波尾 ・・・ 畠山U輔

健太 ・・・ エハラマサヒロ

智乃 ・・・ 鈴木まりや

彩  ・・・ 小築舞衣

土屋 ・・・ ヨネックス千晴

店長 ・・・ 由地慶伍

西田 ・・・ 篠原あさみ

優一 ・・・ ナカノアツシ

堀川 ・・・ 蔭山ひろみ

舞子 ・・・ 中村涼子

朝奈 ・・・ 西田薫子

岡西 ・・・ 濱崎大輝

 

 

 

【あらすじ】

愛來と波尾は、婚約者同士。

波尾は小説を書いている。

いよいよ挙式が明日にと迫った前日、

「これを読んで欲しい」と、波尾から渡された本を読む愛來。

そこには、6組の男女の恋愛が描かれていた。

 

 

 

一組目は、店長と西田の話。

店長は、喫茶店をやっている。

そこにある日、一人の女性が客としてやって来た。

その女性を見るなり、驚き、挙動不審になる店長。

コーヒーを飲み終え、会計をして出る女性に

「また来てくれますか?」と尋ねる店長。

女性は「えぇ。コーヒー、美味しかったので」

と言って、店を出る。

店員の舞子に「店長〜、あの人に惚れちゃったんじゃないですか?」

とからかわれるも、どこか上の空の店長。

 

 

 

(実は、観てから1ヶ月半経って書いているので

あらすじはうろ覚えですが、ところどころを備忘録で)

 

 

 

松井は恋人を亡くした後、立ち直れず

彼の携帯にメッセージを送った。

すると、返信が来る。

彼の携帯はとっくに解約されており

別の契約者(良斗)が同じ番号を使っていたのだが

顔の見えない相手に、自分の悩み事を打ち明けたりして

二人は打ち解けていく。

そして、付き合うことになる。

 

 

 

健太は、彩と付き合っている。

彩には、妹(智乃)がいて、二人は仲が良い姉妹だ。

だが実は、智乃は健太に想いを寄せていて…。

健太との結婚を考えている彩は

旅行を兼ねて実家に健太に来てもらおうとするが

直前になって健太から別れを告げられる。

体調不良が続いていた健太が病院へ行くと

病のため、余命3ヶ月だと告げられていたのだった。

それを彩に隠し、彼女の元から去る健太。

 

 

 

と、次々にカップルの男女が登場するのですが

実はこれはすべて、愛來の父と、母の恋の話。

愛來が3歳のとき、大地震で母は亡くなる。

男手ひとつで、愛來を育ててきた父。

が、死んだと思っていた妻は生きていて、

偶然、客として自分の喫茶店に来たのでした。

大地震がきっかけで記憶を無くし

被災者同士として出会った優一と結婚していた妻(西田)。

 

 

 

歌手になることが夢だった夫の優一に

「私のために曲を作って、一番に聞かせて欲しい」とお願いする西田。

店長の店に、(これまた偶然)客としてやって来ていた優一は

会社の後輩で、優一に想いを寄せる後輩の前で曲を披露する。

それを店のドアの前で偶然聞いてしまう西田。

帰宅後、「曲が出来たよ」と優一が唄った歌を

「それ、私以外の人に聞かせたよね?」と責める西田。

家を飛び出す西田は、気付けば喫茶店に来ていて

西田から話を聞いた店長は「それは誤解だ」と

優一が、後輩から「何か唄ってくれ」と強引に頼まれて

仕方なく唄ったんだと。

「彼が一番大切に想っているのは、あなたですよ」と言い

西田を優一の元へと返すのだった。

 

 

 

【感 想】

途中で(あれ?)と思うシーンがいくつもあり

(※これは、伏線だったと後に気付くのですが)

最後、ひとつに繋がったときは(やられた!)と思いました。

店長、17年前に生き別れた妻(西田)を

自分の元に取り戻す絶好の機会だったのに

それをせず、愛する人の幸せを願って身を引くラストシーンは

(自分だったら同じように行動できるかな)と考えてしまった。

 

 

 

劇中の登場人物の名前を変えていたのは、波尾の計らいと見せかけて

同一人物だとわからないようにする脚本家の策略です。

伏線を丁寧に回収して、無理なく感動的な結末に繋いだ西条さんが

『下北沢ダイハード』の第1話であの脚本を書いた人と同じ人物であると

にわかには信じがたいほどの話の展開。

(いい意味で)この人のあたまの中、どうなってるの??

 

 

 

私の苦手な、好きなのに展開早めで脳内処理がついていかない系のお話でしたが

観て良かったです。

 

 

 

| 観劇・美術・映画 | 23:36 | comments(0) | - | pookmark |
観劇:電動夏子安置システム『グランディ氏の穏やかな遺言』

チケットを予約したものの(※当日劇場で精算)

あまりの暑さに、キャンセルしようかなと迷ったけれど

行ってよかった。

初めて観る劇団、電動夏子安置システムの

『グランディ氏の穏やかな遺言』です。

 

 

 

こういう、ちょっと込み入ったストーリーは

一度で理解できないのですが

(※ 『アジアン・エイリアン』 なども、そう)

好きです。

好きな気持ちはあるのに、理解できない。

もどかしいれけど、つい観てしまいます。

 

 

 

グランディ氏の穏やかな遺言

右端のキャッチコピーに惹かれました。

「あの子、昨日は赤ちゃんだったはずなのに」

 

 

 

グランディ氏の穏やかな遺言

〜チラシより〜

 

短命なものの例えとして思い浮かぶものは「蝉」だろうか。

実際は個体差があるだろうし、

その大部分は地中で幼虫として過ごしてはいるので

決して短命とはいえないのだが、

如何せん、世に出てやかましく声を挙げる期間からして、

一見、短命に見えるのである。

 

彼女はこの部屋を提供してくれた友人に感謝している。

元・保育士の彼女が、このマンションの一室を改装して

家庭的保育所を開設したのは半年ほど前の事である。

認可の無い施設ではあるが、

保育所不足が深刻だったこの地域では、

利用者は多かった。

 

しかし、騒音の問題から近隣の苦情が相次いだ。

それはやがてエスカレートし、

様々な嫌がらせを伴うようになった。

彼女も決して負けてはいなかったが、

徐々に心がすり減っていった。

何度も協議を重ねたが和解には至らず、

いよいよ舞台を裁判所に移すかどうかという段階に至る。

やりきれない想いでいたが、何よりこれ以上、

子供たちを巻き込むことは不本意であった。

 

協議の日が7日後に迫った日の朝。

彼女は保育所の玄関に

生まれたばかりの男児が放置されているのを見つける。

 

それらはさておき、彼には今日までの記憶が無い。

無いというよりは曖昧であって、

それがまるで作り物のように感じられていた。

それでも周囲の人たちは、自分として認識して接している以上、

その記憶は正しいと思わざるを得ない。

 

彼はその理由をまだ知らない。

自分が7日間で生まれて死んでいく事を。

 

 ソロモン・グランディ

 月曜日に生まれた

 火曜日に洗礼を受け

 水曜日に嫁をもらい

 木曜日に病気になった

 金曜日に病気が悪くなり

 土曜日に死んだ

 日曜日に埋められて

 ソロモン・グランディは

 一巻の終わり

 

つきつけられた期限。

それぞれ最期の一週間。

 

 

 

8/5(土)17:00〜(於:駅前劇場)

脚本/構成:竹田 哲士

 

【キャスト】

水本 翔太(7号室の住人・最近入居してきた男)・・・小原 雄平

日野 良司(1号室の住人・フロア役員))   ・・・道井 良樹

木内 美彩江(6号室の住人・入居者では一番の古株)・・・新野 アコヤ

三輪 聖美(孔亮の孫娘・仕事で海外に滞在中)・・・犬井 のぞみ

月原 智絵(保育士・4号室に保育所を開設する)・・・小舘 絵梨

火神 早希(保育士・智絵の後輩)・・・林 佳代

三輪 佳織(5号室の住人・孔亮の孫娘を名乗る)・・・志賀 聖子

金森 まゆみ(3号室の住人・娘と2人暮らし)・・・中山 まりあ

土屋 雄輝(2号室の住人・妻の出産が間近)・・・日向 翔梧

三輪 孔亮(5号室に居住していた老人)・・・馬上 亮

 

 

 

【あらすじ】

急死した老人、三輪孔亮は、孫娘の聖美にひとめ会いたくて

生き返らせてくれ、と天国の門番のような女性に頼んでいる。

事務的なやりとりを早口で済ませると

「あなたは生き返った。

ただし、ドアをくぐる度に、歳をとる」と言い残し

女性は部屋を出て行く。

 

 

 

孔亮は、マンションのワンフロアを所有していたが、急死した。

孔亮の孫娘を名乗る佳織の計らいで、

マンション内の部屋で、他の住人には内緒で保育所を開く女性・月原。

それぞれの部屋に住む住人たちは

トラブル無く生活していたが

土屋の妻が出産して間もなく、その赤ん坊が病院から居なくなってしまう。

日野が外出から家に戻ると、玄関先に、段ボールに入れられた赤ん坊が。

動揺した日野は、その段ボールを4号室(保育所の前)に置いてしまう。

 

 

 

月原が外出から戻ると、部屋の前に段ボールが置いてある。

開けてみると、生まれて間もない赤ん坊が入っていた。

月原は、警察に届け出ることはせず、保育所でこの赤ん坊を育てようとする。

月原の後輩で、保育士の早希が面倒を見るのだが

この赤ん坊、どうも様子がおかしい。

成長のスピードが、異常に早い。

 

 

 

赤ん坊はどんどん大きくなり、

あっという間に、少年、青年、大人へと成長していくが

本人には、自分に関する記憶が名前(三輪孔亮)以外、一切ない。

 

 

 

孔亮の孫娘だと名乗っていた佳織は

孔亮の介護士として亡くなる直前に世話をしていた

清水佳織だった。

マンションの住人が、佳織を孫娘だと勘違いをし

佳織本人も「違う」と言い出せないまま

孫娘として葬儀を執り行い

孔亮が暮らしていた部屋にそのまま住み続け

友人である月原に、保育所を開設する場所として

一室を提供した。

だが、マンションは「居住以外の用途に利用してはならない」

という規約があることを知らなかった。

 

 


土屋の子供は、昔、土屋と付き合っていた時に堕胎させられた月原が

腹いせのために病院で命を奪ったのだった。

そうとは知らず、赤ん坊を探し続ける土屋。

自分は、土屋の子供ではないかと思い始める赤ん坊の孔亮。

水本は、元妻の聖美を探してこのマンションに引っ越してきたが

聖美を名乗る佳織を見て「これは聖美じゃない」と言い

マンションの住人たちは不審に思い始める。

 

 

 

この辺りから、脳が話の展開についていけず…。

のちに、聖美と名乗る女性が現れるのですが、それは整形した別人で

その別人が、赤ん坊の孔亮の耳元で何かをささやき

孔亮は二度目の命を落とす。

で、ラストで本当の孫娘・聖美が現れるのですが

それは一番最初に出てきた天国の門番の女性と瓜二つで…。

 

 

 

【感 想】

半分〜2/3を過ぎたあたりから

話が脳内でこんがらがって理解度がイマイチだったのですが

面白かったんです。

家でDVD見てるんだったら、巻き戻したくなりました。

 

 

 

すべての役柄が、俳優さんとマッチしていて

小さな劇場ということもありましたが

皆さんの声がよく通って、非常に見やすかった。

ともすれば(この台詞は要らないな)と思われるようなものも

俳優さんの演じ方が上手いので、全くそう感じさせない。

むしろ(またあの役の人、面白いこと言うんじゃないか)

と期待してしまう。

言葉の選び方が絶妙でした。

 

 

 

第36回公演とあるので、

ファンもたくさん居るような場内の雰囲気でした。

それもまた、楽しかった。

小劇場の面白さが、やっと分かってきたようなこの頃です。

 

 

 

| 観劇・美術・映画 | 22:17 | comments(0) | - | pookmark |
観劇:『気づかいルーシー』

子供向けの演劇で、原作が松尾スズキさん。

初演から、2年で再演。

というのが気になり、チケットを取りました。

 

 

 

【キャスト】

ルーシー :岸井 ゆきの

王子さま :栗原 類

馬・王の馬:山中 崇

おじいさん:小野寺 修二

 

 

 

【あらすじ】

とある村で、おじいさんと暮らす女の子ルーシー。

ある日、おじいさんと馬が出かけ

馬から落ちたおじいさんは死んでしまうが

ルーシーを悲しませまいと気づかった馬は

おじいさんの皮をはいで、それをかぶり、

おじいさんとしてルーシーが待つ家に帰る。

 

 

 

見た目はおじいさん(の皮をかぶっている)だが

人間の言葉が話せず、下半身は馬なので

それがおじいさんではなく馬だと、ルーシーは気づくが

馬の努力を気づかって、気付かないふりをする。

 

 

 

しかし実は、おじいさんは死んでおらず

落馬のショックで気を失っただけだった。

目覚めると、自分の皮が剥ぎ取られていることに驚くが

中身だけのまま(※理科室にある、標本みたいな筋肉チックな衣装)で

ルーシーと、おじいさんになったつもりの馬を見守る。

 

 

 

成長したルーシーは、通りかかった王子さまと恋に落ちるが

実は王子さまは余命3ヶ月の命。

結婚したいほど好きなのに、王子さまはもうすぐ死んでしまう。

悲しむルーシー。

すると、見守っていた中身だけのおじいさんは

全身に王子さまのペイントを施し

ルーシーと結婚しようとする。

ついに、ルーシーと、王子さまになりすましたおじいさんが結婚、

という場面で、馬が驚きの告白を始める。

 

 

 

馬は、もとは、とある国の王様の馬だった。

国同士の戦争により、命からがら逃げ出した王様とお妃様が

どうかこの子だけは助けたい、と

お姫様であるルーシーを馬に託そうとした時

馬が「わたしの皮をはいで、それを身に着けてください。

王様とお妃様は馬のふりをして生きていけばいい」と提案する。

 

 

 

ルーシーを見守っていた馬の中身は

ルーシーの両親だったのだ。

ルーシーが、お姫様だと分かった王子さまは

「実は、君が庶民だと僕たちは結婚できないので

3ヶ月の命だと嘘をついた。

君がお姫様ならば、なんの問題もない。結婚しよう」

と言い、二人は結婚する。

 

 

 

【感 想】

とてもかわいらしくて

大人が観ても “ 気づかい ” について考えさせられる。

きっと子供とは違った視点でみんな楽しんでいる。

そんなことを感じながら、観ていました。

 

 

 

舞台の両端には、楽器が置いてあり

田中馨さん(元SAKE ROCKメンバー)と

森ゆにさんが演奏したり唄ったり。

その音楽がやさしくて、

この作品の “ 気づかい ” を表しているようで

とても合っていた。

 

 

 

ルーシーを演じた、岸井ゆきのさん。

ドラマ『99.9』に出演されていたときは

ちょっと変わった役だったせいか、見ていて苦手意識があったけれど

初演を観た友人が「あの役は、とても合っていて可愛い」と言う通り

ルーシー役はとても合っていた。

 

 

 

馬がおじいさんの皮をはぐ、という残酷なシーンも

皮を剥がされたおじいさんは

理科室の骨格標本みたいな衣装で出てきて、どこか笑えたり。

王子さまになりすましたおじいさんが

「え、あの子と私が、結婚?!」と正気に戻ったときも

「夜の生活はどうすればいいんだ」と真面目に悩んだり

(↑これ、大人は笑っていたけれど

もっとエグい台詞もあったので

あとでお子さんから質問されたらどうするんだろう…

と要らぬ心配をしてしまいました)。

要所に、毒っ気が入っていたのも面白かった。

 

 

 

誰かが誰かを気づかって、

その気づかいが度を越すと、おかしさや、悲しさを生む。

王子さまが「余命3ヶ月」と嘘をついていたのに

ルーシーがお姫様だとわかって「結婚できる」と言ったのは

腹が立ったけれど(笑)

嘘は、ルーシーを傷つけないための

王子さまなりの気づかいだったのだ、

だから腹を立てるな、と自分を納得させました。

相手に気を遣わせない気づかいというのは

人それぞれだから簡単ではないけれど

やっぱり、気づかいっていいな、と思った作品でした。

 

 

 

 

 

確か、観たのは千秋楽。

だけど、千秋楽にこだわらずに、ソワレの方が良かったかも…。

というのも、お子さんが多く

「トイレ行きたい」「まだ終わんないの?」「つまんない」と言う声が

すぐ後ろから聞こえてきて…

子供向けのお芝居ということもあるし

お子さんが居ることは承知の上だったのですが

私は楽しく観ていたので、ちょっと残念な気持ちになりました。

途中でトイレに退席するお母さんのヒールがカンカン鳴るのも

普段の観劇ではありえない事なので

なんだかなぁ…と。

相手に気づかいを求めるとこちらが疲れるから、期待はしない。

こういう時、同じ場に居合わせる客との “ 縁 ” も含めて楽しめるくらい

心に余裕をもって観劇できるようになりたいな、と思った次第です。

 

 

 

| 観劇・美術・映画 | 21:57 | comments(0) | - | pookmark |
週末観劇:7/15-7/16

この三連休、二日間はお芝居を観に行きました。

 

7/15(土):『他重人格 WHO AM I?』

7/16(日):SPIRAL MOON『おんわたし』

      :シアターノーチラス『孤独の観察』

 

 

 

4-6月期のドラマで『リバース』が一番面白くて

他人と自分との関わり、ということについて考えた。

そんな時に、アンテナに引っ掛かって取ったチケット。

でも、その時の気持ちと、観る時の精神の間には

距離が出来ているんです(笑)

 

 

 

 

 

『他重人格』は、程度の差はあれど

自分にも、いや、誰にでも当てはまる部分はあるんじゃないか

と思います。

 

 

 

他重人格

 

 

 

【キャスト】

大久保聡美

山崎彬(悪い芝居)

貴瀬雄二

小林瑞紀

野崎数馬(丸福ボンバーズ)

多田直人(キャラメルボックス)

村井まどか(青年団)

 

 

 

 

 

自分のことよりも、

自分の周りにいる人が喜ぶことをしたいと考える主人公。

結婚も、自分がしたいというより、彼女がしたいから

「じゃぁ、しようか」と言ってしまい

悪く言えば主体性が無い。

 

 

 

妻の実家(旅館経営)のあとを継ぐことになり

仕事を辞めることに何の迷いもない。

数少ない宿泊客に喜んでもらうため

客のSNSを見つけて情報収集し

好みに合わせたもてなしをする。

 

 

 

そうやって、町の電気屋、旅館に住み込みで働くアルバイト、

それぞれが望む人物になりきる主人公。

でもある時、住み込みのアルバイトである女性が

主人公に殴られて大怪我をするという事件が起こり

警察の事情聴取が始まると

各々が、主人公に対して異なる人物像を抱いている事が判明するのだが。。。

 

 

 

【感 想】

ラストが、今までに見たことがない展開で。

舞台の上に、

「ここから先は脚本は無い。

俳優たちは、自由にこの作品のテーマを話し合う。

ただし、『脚本が無い』ことを演じないように」

というような字幕が表示されました。

 

 

 

俳優さんたちは、フリートークを始めるのですが

「脚本が無いということを演じないように話し合う」ことに

普段の生活にあるような自然体を出すのは難しく、

どこか “ 演じている感 ” を嗅ぎ取ってしまったのでした。

 

 

 

自分の友達の前で見せる顔は、きっとそれぞれ違うであろう

ということを自覚している私に

今回の作品はとても面白く

主人公の、相手に合わせる度合いは

極端じゃないかと感じる部分もあったけれど

それをうまく演じていて、イヤミが無く、楽しめました。

 

 

 

 

 

おんわたし

 

 

 

『おんわたし』は

本多劇場グループのHPを見ていて

(面白そうだな)と思って、チケットを取りました。

 

 

 

おんわたし

 

 

 

人から受けた恩を

その人ではなく、別の人に渡すこと。

そんな風習がある、沖縄のとある島での物語。

 

 

 

【キャスト】

金城 吾郎  ・・・ 保倉 大朔(uncle jam)

知念 良夫  ・・・ 河嶋 政規(Propeller☆Circus)

喜屋武 珠代 ・・・ 早川 紗代(ノアノオモチャバコ)

玉城 庄吉  ・・・ 牧野 達哉

玉城 伸子  ・・・ 土井 すみれ

西 保    ・・・ 榎本 悟(シアターキューブリック)

中村 節子  ・・・ 浅野 美由希

平良 謙吉  ・・・ 関根 芳雄(MAHALOエンターテイメント)
戸田 政男  ・・・ 大澤 俊
新垣 マリコ ・・・ 長谷川 なつみ
松原 君子  ・・・ 秋葉 舞滝子

 

 

 

島にある小さな郵便局で働く良夫のところに

浜辺に打ち上げられた、コーラの瓶が届く。

中には、10年前の手紙が入っていた。

中学受験を控えた小学生の女の子からで

算数の問題が書いてあり「答えを教えてほしい」と。

大人たちは、一生懸命その問題を解き

今は22歳くらいになっているであろうその少女宛に

算数の答えと共に、コーラの瓶がこの島に流れ着いたことを書いた返信を

手紙に書かれていた住所へ、送る。

 

 

 

良夫のところに、町の観光課から「この子を預かってほしい」と

保という二十歳ぐらいの青年が、節子に連れられてやって来た。

保はどうやら、人の命を奪ってしまった事情があるようで…

郵便物の配達を真面目にこなすが、無口でからみづらく

掴みどころの無い保に

良夫や珠代は完全には心を開けないでいる。

 

 

 

すると、手紙を出してから数日後

郵便局に、女性(松原 君子)が尋ねてくる。

名乗りもせずに一度は郵便局を後にする君子を

保の実の母ではないかと思う良夫。

だが、君子は、コーラ瓶の手紙の差出人である少女の母親だった。

 

 

 

「私はあの後、中学受験に成功し

今は社会人として、仙台で働いています。

10年前の手紙に返事をくださって、ありがとうございました」

そう返事が来たけれど、本当は少女は中学受験に失敗し

その事を苦に、自ら命を絶ってしまっていた。

返事を書いたのは母親(君子)で

「島の人たちに嘘をついたことを詫び

10年前の娘の手紙に返事をくれたことにお礼を言いたい」

と、この島に足を運んだのだった。

 

 

 

「あなたが、そういう気持ちでこの島に来てくれたのであれば」

と良夫は、この島に伝わる “ 恩渡し ” の風習について話し

保の立ち直りに手を貸してほしいと、君子に頼むのだった。

 

 

 

【感 想】

セットは、郵便局内のみ。

とは言え、こちらの郵便局を想像すると、それとは異なり

良夫の家でもあるので、どこか生活感もある。

扇風機が回っていて、真ん中には6人掛けくらいのテーブルがあり

入口には、畑で取れた野菜が売っていたりする。

このセットが、よく出来ていてとても素晴らしかった。

 

 

 

タバコを吸うシーンがあったり

(事前に、タバコのにおいが苦手な人には

マスクを配るという配慮がありました)

線香花火のシーンもあったり、と

小劇場ならではの、生々しさが感じられる面白い作品でした。

 

 

 

自分が人からしてもらった嬉しさを、他人に「渡す」。

日常生活で忘れていた、大切なことを思い出させてくれたような

温かい気持ちになれた作品でした。

 

 

 

 

 

 

孤独の観察

 

 

 

孤独の観察

 

 

『孤独の観察』も

本多劇場グループのHPで、何か心に引っ掛かって

チケットを取りました。

 

 

 

入場時に、チラシやアンケートが手渡されますが

その中に入っていた、作・今村幸市さんが書いていた

作品に対する想いが、静かに心に響いてきました。

この作品は、2008年に起きた、秋葉原での無差別殺人事件から感じたことを

今村さんが書き上げた作品だそうです。

 

 

 

【キャスト】

前崎 千絵(かつての同級生)・・・ 福田 桂子(スターダスト・21カンパニー)

片山 セリ(かつての同級生)・・・ 木村 香織(theaternautilus)

宮村 亜希(かつての同級生)・・・ 佐藤 彩乃

瀬戸 涼子(かつての同級生)・・・ 相良 康代(劇団 milquetoast+)

奥田 雅也(かつての同級生)・・・ 山崎 拓也

瀬戸 慎二(涼子の夫)   ・・・ 高島 桂介(41 Promotion)

飯島 成美(比奈の姉)   ・・・ 御子神 陽子

飯島 比奈(かつての同級生)・・・ 萩原 愛子

 

 

 

【あらすじ】

高校の同級生である千絵、セリ、涼子は

宮村 亜希と奥田 雅也の結婚式に出席するため

披露宴会場に集まっていた。

ただし、披露宴が始まるまではまだだいぶ、時間がある。

なぜこんなに早く集まったかと言うと

亜希を含めた4人には、確認しておきたい12年前の出来事があった。

 

 

 

高校3年生だった、あの夏。

4人(千絵、セリ、涼子、亜希)と、同級生の比奈は

いつも5人で一緒に遊んでいた。

だが比奈は、どこか人付き合いがヘタで

ノリもイマイチだ。

そのことにイラつく千絵は

付き合いに参加するように強い口調で言い放つことが

しばしば有った。

 

 

 

比奈は、ネットでとある人物と知り合った。

ネット上では、見た目を気にする必要も無いし

自分の心をさらけ出すことが出来た。

比奈は、現実の世界よりも、ネット上の友達に心を開いていた。

それを心配する、比奈の姉・成美。

 

 

 

そんなある日、ネットの友達が、事件を起こすと言う。

それを止めようと、会う約束を取り付ける比奈。

比奈は、亜希の誕生日祝いをカラオケでしようという

誘いを断り、一人で待ち合わせ場所へ向かおうとする。

「亜希の誕生日を祝うよりも大切なことがあるの?

だったらそっちに行けばいいじゃない!」と責める千絵。

比奈はカラオケには行かず、待ち合わせ場所へ。

4人は、カラオケへ向かう。

すると、繁華街で無差別殺人事件が起こったというニュースが流れてきた。

犠牲者の中に、比奈がいるのではないかと心配する4人。

だが、事件とは別の場所で、殺された比奈が発見された。

 

 

 

そのことをずっと抱えたまま

高校卒業以来、12年ぶりに会う4人。

自分たちに非はなかったのだと、確かめ合う。

そこに、なぜか比奈の姉である成美が現れて…。

 

 

 

成美は、無差別殺人事件と同時期に起きたせいで

きちんと捜査されなかった妹の死について

真犯人を探そうと、一人で調べ始める。

そして、高校の同級生たちのことを、

事件後からずっと観察していたのだった。

 

 

 

高校時代、比奈に想いを寄せていた奥田。

あの日、「事件を起こす」と言うネットの友達を説得しようと

待ち合わせ場所で不安に押しつぶされそうになりながら

携帯を握り締めて待つ比奈の前に、偶然奥田が現れた。

自分の想いを抑えきれず、比奈を責めるようにまくし立てるうち

奥田は誤って比奈を壁に強くぶつけ、彼女を死なせてしまう。

その場を立ち去る奥田。

 

 

 

帰宅しない比奈を心配した姉の成美は

比奈が死んでいた場所の近くで、

逃げるようにして去る奥田の姿を見かけ

その後、10年以上に渡り、彼らを観察し続けた。

「3年前に偶然再会したことがきっかけで付き合い始め

亜希さんと結婚することになったみたいだけど

それが本当に偶然なのか、教えてあげましょうか?」

と言う成美は、とても怖かった。

 

 

 

比奈を死なせてしまった後悔と罪の意識から

その後、人と関わらないように生きてきた奥田の孤独。

それを観察しながら、12年も比奈のことを思い続けた成美もまた

孤独だったのだと。

千絵、セリ、涼子、亜希もまた

卒業後に連絡を取り合わなくなるくらい

罪の意識を感じていたということ。

(※結局は、比奈を死なせたのは奥田だったけれど

比奈を一人にしなければ死ななかったかも知れない

という後ろめたさを、彼女たちも12年間抱えていた)

 

 

 

千絵が、付き合いが悪い比奈を責めるシーンでは

「大丈夫だから。そんなに責めないで」と

彼女の腕をつかんで言ってしまいたくなる切なさが

こみ上げてきました。

目の前にある関係を大切にすることは

もちろん大事だけれど

そうやって大事にしていこうとしても

望んでいないのにこの先、壊れてしまうこともある。

大人になれば、社会に出れば

新しい人との関係性が始まることもある。

今、目の前にあるものにしがみついて、傷つけないで。

「大丈夫だから。傷つけないで!比奈を。あなたを」

と、言いたかった。

 

 

 

 

 

この記事、観てから一ヶ月ほどして書いているのですが

『孤独の観察』は一週間くらい、

何度も思い出しては、苦しくなりました。

 

 

 

俳優さんたちも、とても良くて。

特に、比奈役を演じた萩原愛子さん。

普段はおどおどして、自分の意見を同級生にうまく言えない比奈が

ネット上の友達に思いを伝える(書き込む)シーンでは

必死で説得しようとする優しさが伝わってくる演技が見事でした。

彼女の、他の舞台も観てみたい。

 

 

 

 

 

この2日間で観た3本は

どれも「人との関わり」がテーマになっていて

過去の経験や、これからの自分の行動について

考えるきっかけを貰えた作品ばかりでした。

 

 

 

| 観劇・美術・映画 | 22:25 | comments(0) | - | pookmark |
観劇:チェルフィッチュ『部屋に流れる時間の旅』

今月は、初めての劇団のお芝居を沢山観ました。

ラストは、チェルフィッチュ。

これも、とあるメルマガがきっかけで気になったのですが、すでに完売。

追加公演が発売されると知り、チケットを取りました。

 

 

 

 


とある部屋に、一組の男女(夫婦)がいる。

夫は、観客に背を向けるように椅子に座り

なぜか足を、床に着かないようぎりぎりのところで浮かせている。

舞台は2012年。

前年に、あの大震災があってから

妻は心に起こった変化を、出来事を振り返りながら夫に言い聞かせる。

「ねぇ、憶えてる?」と。

 

 

 

それまでは、アパートから赤ん坊の泣き声が聞こえてくるだけで苛立っていたのが

あの震災をきっかけに、苛立たなくなった。

地震が起きた後、アパートの住人と近くの駐車場に集まったとき

それまで挨拶も交わさなかった住人たちに対して、関心を持ち始めたこと。

 

 

 

その部屋に、一人の女性が訪ねてくる。

女性は、交通渋滞に巻き込まれ、部屋に着く時間が遅れてしまう。

携帯の充電は切れ、訪問が遅れることを連絡できない。

妻はあの日からの記憶を話し続け、夫は時々相槌を打ったり

「そうだったっけ?」と返事をするのだが。

 

 

 

実は、震災から4日後、妻は持病の喘息で死んでしまった。

部屋に残る妻の亡霊。

亡霊と会話をする夫。

部屋を訪ねて来ようとしている女性は、妻の死後、夫が恋心を抱くようになった女性であり

女性もまた、男性に対して淡い気持ちを抱いている。

 

 

 

震災によって心に湧いた様々な感情を「かき混ぜられた」と言ったり

震災によって「(他者への)無関心が死んだ」と言う台詞は

とても独特で心に残りました。

が…妻が延々と繰り返す「ねぇ、憶えてる?」に

私の心がかき混ぜられてしまい…途中から(いつ終わるかな)と感じてしまいました。

 

 

 

チェルフィッチュ_『部屋に流れる時間の旅』

 

 

 

作・演出の岡田さんが上に書いている通り

震災を経て、新しい変化を実現させるための突破口に立った妻は

心の中に湧き上がった未来への希望を言葉にして夫に聞かせるけれど

妻を失い、別の女性に好意を持ち始めた夫とは、温度差があって…

というところまでしか、感じることが出来ませんでした。

 

 

 

演出なのだろうけれど、舞台上で放たれる光や風に、集中力がそがれたし

伝えたいことを抽象的な台詞に込めて

観客自身の読み取る力に大部分を委ねているように感じた今作に対して

疲労感と後味の悪さが残りました。

 

 

 

作品から何を感じるかは観客の自由で

「おもしろい」「つまらない」「かなしい」「たのしい」など

様々な感想が湧いてきますが

楽しい作品だけが良かった訳ではなく

イキウメ『天の敵』や、ワンツーワークス『アジアン・エイリアン』のように

重いテーマを扱った作品でも、

観終わった後もずっと、そのテーマを自分の人生や生活のそばに置いて

一緒に生きていく作品もある。

 

 

 

観る時の、自分の肉体的・精神的なコンディションもあるだろうし

年齢的に、好みが変わってくることもあるだろうから

“相性” という二文字で片付けることはあまりしたくないけれど

それでもやっぱりあるんだろうなぁ、相性が。

なんてことを感じた観劇でした。

 

 

 

チェルフィッチュ_『部屋に流れる時間の旅』

 

 

 

| 観劇・美術・映画 | 23:48 | comments(0) | - | pookmark |
観劇:ワンツーワークス『アジアン・エイリアン』

今日は赤坂レッドシアターにて

ワンツーワークスの『アジアン・エイリアン』を観劇。

初めて観る劇団で

とあるメルマガがきっかけでチケットをとりました。

 

 

 

 

 

舞台には、高さが20cmほどの、木枠で作ったプール型のようなものが置かれてあり

そこには真っ黒なシートが敷かれています。

舞台下手には、ドアがあり、そこは霊安室という設定でした。

プール型より少し高いところに、鉄の柵があり

柵の向こうにもまたドアが。

 

 

 

オープニングから(これは何を表しているの?)と感じるような動きで

12人の、喪服を着た男女の俳優さん達が、

這い上がるようにして鉄柵を越えて、プールの方へやってきます。

雨期の水田を歩く時のように重い足を引き抜き引きずりながら

一歩ずつ歩を進める男女。

その中で一人の女性が、持っていた木箱から

中に水が入っているガラスの器を取り出します。

一人ずつ、喪服のポケットから布を取り出して

その布を開くと、真ん中に赤い丸が描かれた白い紙があり

その紙を、ガラスの器の中に入れていくと

紙は溶け、器の水がどんどん赤くなっていく。

 

 

 

場面は変わり、一人の男性・サカイダが

霊安室の前で、白いハンカチで口を押さえて座っている。

と、彼の会社の後輩である男性がやってくる。

サカイダは「ミサキもミチコも、嘘みたいに綺麗な顔をしてる」と言い

顔を見てくるよう促しますが

後輩は霊安室に入る前に、「“礼節”だから」と言って

喪服に着替え始めます(多分ここは、

もっと観客の笑いがとれると思っていたであろう劇団側の思惑に反して

会場には微妙な空気が流れていました)。

と、そこへ買い物かごを持った女性が現れます。

「ミサキの姉」と名乗るその女性は霊安室に入り

出てくると「あれは弟じゃない」と衝撃の発言をします。

 

 

 

もうこの出だしから(やられた!)と感じましたが

私は、ミサキもミチコも女性で、サカイダの妻と娘かな?と勝手に思っていたのだけれど

ミサキ:男、ミチコ:サカイダの姪で、二人は婚約者という設定でした。

ミチコは、サカイダの実弟の娘で、ミチコが中学生の時に死んでしまった父(実弟)に代わり

サカイダが実の娘のように育ててきたのでした。

交通事故で死んだミサキ(下の名前はヨシヒコとかクニヒコと言った役名でした)は

天涯孤独と聞いていたのに、姉と名乗る女性が出てきたことが始まりで

「あれはミサキじゃないのか?本当は、誰なんだ?」

と不審に思ったサカイダが真相を突き止めていくお話でした。

 

 

 

結論から言うと、ミサキと名乗る男性は実は在日で

ミチコと結婚したいために、日本国籍を手に入れたくて

本物のミサキ(買い物かごを持った女性の弟)から、戸籍を買ったというのが事実でした。

本物のミサキは男性に

「死んだ彼は、自分が在日だと知ったら

あなた(サカイダ)はミチコとの結婚を許してくれないだろうから

日本国籍が欲しいと言っていた」と話します。

サカイダは「そんなの関係なく、俺はミサキを認めていた」と言いますが。。。

自分が在日だと知ると「そんなの関係ないよ」と言う人は

本当の自分を見てはくれない。

違いを違いとして認めたところから理解を含めた関係が始まるんだ

というような台詞にはハッとさせられました。

 

 

 

 

 

この作品は、17年ぶりの再演だそうです。

観に行こうと思ったきっかけは「1トンの本水(※ホンミズ:本物の水)を使用」

という紹介文でした。

実は、公演後に、バックステージ・ツアー「水を使う」と題したアフターイベントがあったので

24日のチケットを取りました。

1トンという水が、どれくらいの量なのか普段の生活からは見当もつきませんが

黒いシートを敷いた木枠が、私の目測で2m×3.5〜4mほど。

そこに3cmくらい水を入れると、1トンなんだそうです!

でも実際はもう少し水を入れていたそうで、1.8トンくらいだとのことでした。

 

 

 

マイク 器の赤い水が、男性が手を入れてかき混ぜると白っぽくなったのはどうやったの?

  →漂白剤やクリーナーの類の液体をスポイトのような容器に入れ

   客席から見えないように手のひらに隠し持ち、それを器の中で出した。

マイク 劇中でびしょぬれになるけれど、洋服の替えはあるの?

  →洋服の替えは無いので、公演後に乾燥機で乾かしている。

   なので、2公演ある時は生乾きのまま着て演技しているそうですよ!

マイク 靴も?

  →靴も、洋服と同じように乾かしている。

マイク 木枠の中に、最初は透明な水が流れてきたけれど

  徐々に白っぽい水が流れてきたのは、あれは何?

  →入浴剤を溶かして作った白い水を流していた。

 

 

 

などなど。

観客からの質問に、サカイダを演じた奥村洋治さんが答える形で

イベントは進んで行きました。

(この質問タイムで「オープニングのところが、田植え作業みたいだった」

とおっしゃったお客さんが居て

私も同じことを思ったので、心の中でニヤリとしてしまった)

そうそう、排水作業は1時間くらいかかるそうで

奥村さんが話している間も、スタッフさんがポンプで水をくみ上げたり

モップやちりとりを使って水を出していました。

ちなみに、白い水は毎回捨てているとのこと。

バックステージ・ツアーでは、先ほどまで役者さんが立っていた舞台や

霊安室(そこは、流すための水を入れる500リットルのタンクが2つ置かれていました)

を覗かせてもらったりと、贅沢な時間でした。

 

 

 

オープニングで、喪服を着た男女が

水が入った器に入れる、真ん中に赤い丸が描かれた白い紙。

それは日の丸を表していて、

紙を包んでいた布が、すべて異なる鮮やかな色だったことは

その人たちの本当の国籍が多様であることを表しているのかな?と思ったり。

サカイダが白いハンカチで口を押さえ

「何か感じないか?」と臭気を訴えるシーンは

在日に対する嫌悪感の表れを意味していたり。

木枠に流れ込んできた白い水に、映像を投影する部分があったり。

ある時から、俳優さんが歩くとビチャビチャと水がはねて

霊安室の方から水が流れてきていることを知ったり。

水=人の無意識の中にある意識(この場合は、国籍で人を差別する意識かな)

という象徴であったり。

 

 

 

一度だけでは理解しきれない部分があったので

もう一度観に行きたい。

でも、DVDを買おうか…と本気で悩み中。

「重くて深かった」という薄っぺらな感想では片付けられないような作品でした。

観に行ってよかった。

 

 

 

| 観劇・美術・映画 | 21:52 | comments(0) | - | pookmark |
週末観劇:6/17-6/18

この週末は、3本のお芝居を。

 

6/17(土):パラドックス定数『九回裏、二死満塁。』

6/18(日):FUKAIPRODUCE羽衣『愛死に』

      :カムカムミニキーナ『狼狽』

 

 

 

すべて初めて観る劇団でした。

パラドックス定数は、タイミング的に

TBSドラマ『リバース』に似てる感じがしました。

 

 

 

高校時代の野球部のメンバーが、監督の納骨で集まる。

寺へ向かう前に、高校のグラウンドへ向かったメンバー。

そこで、キャプテンでもありキャッチャーでもあったミハラは

21年前に死んだ、ピッチャーのサワタリの亡霊を見る。

過去一度だけ、甲子園出場を果たした彼らだったが

サワタリは死ぬ前、それが監督の八百長によって成し遂げた出場だったことを

ミハラに打ち明ける。

サワタリの葬式の時、ミハラは監督に事の真相を確かめる。

監督は「お前、サワタリと俺、どっちを信じるんだ」とだけ言い

真実を教えてくれることのないまま時は過ぎ、この世を去った。

甲子園出場という、皆の青春の思い出を汚して死んだサワタリは

自殺だったのか?事故だったのか?

21年間、何も知らなかったショートのセンカワ。

ミハラと共に、秘密を守り続けていた四番のヤシオ。

地元にずっと残り、実家(寺)と野球しか知らないホヅミ。

監督は、なぜ八百長に手を出したのか。

結局、監督が八百長をした理由は

彼らが入部してきた時に、キャプテンが「みんなで甲子園に行きたい」

と発言した一言がきっかけだったという展開なのですが。

 

 

 

あることがきっかけで

その後何年も苦しみを抱くことになる。

現在と過去が入り乱れ、真相が解明していくストーリーは

ドラマ『リバース』や、最近観たイキウメ『天の敵』とも似ている印象があり

初めて観たこの作品だけで

劇団に対する印象や感想を決めてしまうつもりはありませんが

特段印象に残らない作品だったな、というのが正直な感想です。

 

 

 

 

 

日曜日は、FUKAIPRODUCE羽衣を。

この劇団が大好きだという友人から

事前に「好き嫌いがまっぷたつに分かれる」と言われていて

先入観なしに観よう!と意気込んで劇場に行きました。

 

 

 

『愛死に』は、7年ぶりの再演だそう。

ことばと歌、うごきで表現する作品でした。

下ネタ、と言ってしまえば分かりやすいけれど

それで片付けてしまうのは、あまりに大雑把。

夜の静まり返った劇場に現われた、6組の男女の亡霊たち。

相手への想いを、性への欲望を、赤裸々な言葉で伝えます。

これに拒否反応が出る人は居るだろうけれど

亡霊たちがもう現実では叶えられない愛に対する想いを、

素直に、まっすぐに伝えていて

生きていると、どうしても照れたり、格好つけたりして

本心から遠ざかってしまう。

私は生きているから、亡霊たちのまっすぐな欲望を

ちょっと恥ずかしいような、羨ましいような気持ちで見てた。

 

 

 

この作品を観た某有名人が

「いまのAVに欠けているものがある」と発言したそうで

それはきっと、叙情的ということなんだろうな、と思った。

そして、とても繊細に、緻密に出来ている作品だった。

基礎がしっかりしていると、動きと言葉にギャップが生まれて

生み出される笑いはより大きくなるのだな、と思ったり。

 

 

 

 

 

カムカムミニキーナ。

左前の人はずっと寝てるし、右隣の人はよく笑う(あ、右隣の人もちょっと寝てた)。

人の好みは多種多様で面白いな〜、と思いながら観てました。

私個人の感想ですが、作品としては冗長な印象を受けました。

「その歌、いる?」「その台詞、いる?」「その役、必要?」

と感じることが多く

話の枝葉があちこちに飛ぶので、集中力を削がれてしまう。

あれが劇団の作風ならば、よく笑っていた観客はファンなのだろうし

あのダラダラした(と私には感じられた)やり方が好みなのだろうなぁ。

もっとピリッと、ミステリーの要素で締めてくれたら

また違った感想をもったかも知れないけれど…。

姜暢雄さんが出演されていたことが、唯一の救いでした。

 

 

 

 

 

友人からは「一日に2本も観るの?!」と言われましたが

日曜日は同じ劇場(池袋の東京芸術劇場)だったし

チケットをとるのは土日、と限られている中で

公演スケジュールが近いと、仕方なかったりします。

実は来月も2回、一日に2本観劇します。

 

 

 

| 観劇・美術・映画 | 22:49 | comments(0) | - | pookmark |
歌舞伎って、おもしろい!(歌舞伎鑑賞教室:『毛抜』)

本日は国立劇場で歌舞伎鑑賞。

『第91回歌舞伎鑑賞教室』と題した

 

歌舞伎 解説 歌舞伎のみかた

歌舞伎 歌舞伎十八番の内 毛抜 一幕

 

でした。

まずは「歌舞伎のみかた」として

中村隼人さんが、歌舞伎にまつわるあれこれを30分ほど説明。

 

えんぴつ 定式幕(黒、萌黄、柿色 (※歌舞伎揚げの色です)

えんぴつ 舞台の上手(かみて)、下手(しもて)とは

えんぴつ 柝(き)について (※舞台上手で、拍子木で床を打つこと)

えんぴつ 女形を演じるときのコツについて

えんぴつ 毛振り(けぶり) (※長い髪の毛のかつらを振り回す・実演つき!)

えんぴつ 黒子の説明から、歌舞伎では演技を補助する「黒いものを見えてないことにする」

えんぴつ 花道について

 

など。

毛振りですが、あの毛髪の重さって4〜5kgあるんですって!

色は赤、黒、白があり

白いものは、チベットに生息する牛科のヤクという動物の毛を使って

作っていたらしいのですが

絶滅危惧種に指定されたため

現在は新たに作ることができないので

過去に作られた、今あるものを大事に使っていることが

説明されました。

実演の後、息を切らしながら説明する中村隼人さん。

歌舞伎では毛振りの後、台詞を言うことは無いそうなので(笑)

大変だったと思います。

それと、この解説中に、写真を撮ってもいいコーナーがあります。

2分ほどなのですが、これを撮ってSNSで拡散してほしいとのこと。

ハッシュタグは「#歌舞伎みたよ」です。

 

 

 

解説のあと、20分の休憩をはさんで

『毛抜(けぬき)』の上演がありました。

今回、入場時に薄いプログラムが配られており

あらすじ、みどころ、出演者が書かれていたので

休憩中に読んで予習(※あらすじは→ )。

 

 

 

今回の演目についてのメルマガが来たとき

最初はスルーしていたのですが

中村隼人さんが出ること、初心者向きの演目であることの説明に加えて

webで残り席を見ていたら、花道のすぐ近くが空いていて

値段も¥3,900だったので思い切ってポチッと。

お正月や、8月の納涼歌舞伎に比べたらとてもお手頃!

イヤホンガイドも、通常は¥700の場合が多いのですが

今回は¥450でした。

 

 

 

席は花道の近くだったので

演者さんが通る時の距離の近さに感動。

そして、迫力に圧倒されました。

いつか観たいと思っていた

鳥屋(とや)と揚幕(あげまく)もしっかり見えて大満足。

(↑花道のつきあたりにある小屋と、その入口にある幕)

 

 

 

わかりやすい言葉が割りと多かったような気がします。

弾正が秀太郎や巻絹に言い寄ってフラれるところなどは

イヤホンガイドがなくても面白く観ることが出来ます。

 

 

 

歌舞伎というと敷居が高いと感じてしまう方も多いかと思いますが

こうやって、値段の安いものを観たりして

わかりやすさ・面白さを感じると

「また観に行こう!」と思えるかも。

私も、お芝居を観に行ったり落語を聴くことはあるけれど

歌舞伎、能、狂言には全く興味がなかったので

まさか、こうやって自分でチケットを取るようになるとは

思ってもいませんでした。

 

 

 

作中、粂寺弾正に、腰元の巻絹がお茶を出すシーンがあるのですが

イヤホンガイドで

「これは上林(かんばやし)の初昔(はつむかし)というお茶。

今でも飲むことが出来ます」

と言っていたので、帰り道にググり

上林ではありませんが、一保堂で買いました。

 

 

 

初昔

お茶請けは、虎屋の羊羹

コロンビア産コーヒーで期間限定と書かれていたので購入

おもかげ(黒砂糖の羊羹)のパッケージは夏仕様になっていました

 

 

 

| 観劇・美術・映画 | 18:50 | comments(0) | - | pookmark |

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